甲状腺とは

甲状腺についてのイメージ写真

甲状腺は内分泌器官の一つで、のどぼとけの真下に位置し、縦が4㎝程度で、重さは15~20g、厚さは1㎝程度、蝶の羽のような形をしていて、気管を抱き込むように位置しています。薄く柔らかい臓器なので、通常は頚部を触ってもわかりませんが、病気で腫れてくると手で触ることができます。さらにある程度以上に大きくなると、首を見ただけで腫れがわかるようになります。

甲状腺は、体の新陳代謝を盛んにするホルモンを作る臓器です。食物として摂取されたたんぱく質、脂肪、炭水化物は、代謝されて体の組織を作るために利用され、エネルギーになります。甲状腺ホルモンは、食物(主に海藻)に含まれているヨウ素(ヨード)を材料にして甲状腺ホルモンは合成され、新陳代謝の過程を刺激したり促進したりする作用があります。また胎児の発育に重要な働きをしたり、子どもの成長を促したりします。甲状腺ホルモンには、ヨウ素(ヨード)の元素を4つ持っているサイロキシン(T4)と、3つ持っているトリヨードサイロニン(T3)の2種類があります。甲状腺ではおもにT4を作っていて、このT4が肝臓などにいってT3になり、これがホルモンの働きを発揮します。

体内では、血液中の甲状腺ホルモンが常に一定の値を維持できるような仕組みが働いており、これをコントロールしているのが、脳の下垂体という部分から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)です。このホルモンは、甲状腺を刺激してホルモンの分泌を促す働きをしています。

血液中の甲状腺ホルモンが増えすぎた場合は、下垂体からの甲状腺刺激ホルモン(TSH)の分泌量が抑えられ、自然に甲状腺ホルモンの分泌が減少してきます。逆に血液中の甲状腺ホルモン濃度が正常以下になると、甲状腺刺激ホルモンの分泌量が増えて甲状腺ホルモンの分泌を促します。こうした仕組みをフィードバック機構といい、そのおかげで、血液中の甲状腺ホルモンの量は、常に一定の範囲を維持しています。
ホルモンの分泌が病気などで過剰または不足すると、さまざまな症状が現れます。これらを甲状腺疾患と呼びます。同疾患は女性、特に20~50代に多く見られます。

甲状腺の病気の特徴

甲状腺の病気は、働きの変化と形の変化の二つの特徴があります。

甲状腺の働きの変化

甲状腺ホルモンをつくる働きが異常を起こし、甲状腺ホルモンが過剰になったり不足したりするもので「甲状腺機能の異常」といいます。

甲状腺機能亢進症
(ホルモン過多)
甲状腺ホルモンの合成が多すぎると、全身の代謝が過度に高まります。
甲状腺機能低下症
(ホルモン過少)
甲状腺ホルモンの合成が少なくなると、全身の代謝が低下します。

甲状腺の形の変化

甲状腺がはれたり、しこりができたりして形態的に変化するものです。

びまん性甲状腺腫
甲状腺全体が大きくなったもの
結節性甲状腺腫
甲状腺にしこりができたもの

甲状腺腫瘍とは

甲状腺にしこり(結節)が発生している際、その一部は甲状腺腫瘍と呼ばれ、良性腫瘍と悪性腫瘍に分類されます。

甲状腺疾患に伴う全身症状

甲状腺機能亢進症(甲状腺ホルモン過多)でみられる主な症状

  • 動悸(頻脈)/息切れ
  • 暑がり
  • 皮膚湿潤(発汗過多)
  • 手指が震える
  • 振戦
  • そう状態
  • 喉が渇く
  • 体重減少(食欲は亢進)
  • 下痢
  • 希少月経
  • すぐにイライラする 等

甲状腺機能低下症(甲状腺ホルモン過少)でみられる主な症状

  • 徐脈
  • 寒がり
  • 皮膚乾燥
  • うつ状態(無気力)
  • 記憶力低下
  • 食欲不振も体重増加
  • 顔や体にむくみがある
  • 疲れやすい
  • 便秘
  • 過多月経 等

甲状腺腫瘤(良性腫瘍・悪性腫瘍)でみられる主な症状

  • 喉に違和感がある
  • 頸部に腫れ・しこりを感じる 等

甲状腺の病気

甲状腺機能亢進症となる病気

甲状腺機能低下症となる病気

甲状腺良性腫瘍

甲状腺悪性腫瘍